スーパーの解凍肉は再冷凍していい?肉屋が教える3つの判断基準と注意点

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豚くん

特売で買った「解凍」のお肉、使い切れなくて…そのまま冷凍しちゃダメなの?

ジョニー

条件さえ守れば冷凍できますよ。ただし、やり方を間違えると味も安全性も落ちます。

特売で買った「解凍」表示のお肉、使い切れずに余っていませんか。安く買えたのに捨てるのは、もったいないですよね。

ところが調べてみると「絶対ダメ」という声と「問題ない」という声に分かれていて、余計に迷ってしまいます。

そこでこの記事では、現役の肉屋の視点と公的機関の情報をもとに、再冷凍していい肉・避けたい肉の判断基準と、正しい手順を整理しました。

目次

スーパーの解凍肉は再冷凍できる?肉屋の結論

先に結論からお伝えします。条件を満たしていれば再冷凍は可能ですが、味と食感が落ちることは避けられません。

結論:冷蔵庫内で解凍された肉なら再冷凍は可能

買ってきた「解凍」表示の肉を、冷蔵庫から出さずに買った当日そのまま冷凍庫へ入れるのであれば、再冷凍は現実的な選択肢になります。理由は、低温を保ったままなら細菌が増える時間をほとんど与えずに済むから。

ただし、ここははっきり書いておきます。農林水産省は、お店で解凍して売られている生ものを再凍結すると、おいしさも栄養も極端に落ちると説明しており、公的機関は再冷凍を積極的にすすめていません

つまり「安全のお墨付きがある方法」ではなく、「やむを得ず行うならリスクを下げる条件がある」という位置づけになります。

「絶対ダメ」と言われる理由は品質劣化と食中毒の2つ

再冷凍が嫌われる理由は、大きく分けて2つしかありません。ひとつは凍結と解凍を繰り返すことで起きる品質の劣化、もうひとつは温度が上がっている間に細菌が増えるという衛生面の問題です。

逆に言えば、この2つを抑え込めるかどうかが判断の分かれ目になります。詳しい中身はこのあとのセクションで順番に見ていきましょう。

家庭で室温解凍した肉と、スーパーの解凍肉は別物

同じ「解凍された肉」でも、危険度はまったく違います。スーパーの解凍肉は、多くの場合お店のバックヤードで低温のまま解凍されたもの。

一方、自宅の調理台に何時間も置いて解凍した肉は、細菌が増えやすい温度帯を長くさまよっています。前者と後者を同じ「解凍肉」としてひとくくりに考えると、判断を誤りかねません。

そもそもスーパーの「解凍」表示とは?肉屋が中身を解説

パックに貼られている「解凍」の文字は、お店が親切心で付けているわけではありません。食肉の表示ルールで決められた、義務としての表示です。

「解凍」表示は食肉の表示ルールで義務づけられている

食肉の表示に関する公正競争規約では、冷凍された食肉を解凍して販売する場合、「解凍」「解凍品」のように解凍した旨を表示すると定められています。運用しているのは全国食肉公正取引協議会。

この規約は公正取引委員会の認定を受けた業界共通のルールで、参加する事業者はこれに沿って表示しています。

凍結された肉を半解凍してスライスした商品も、この表示の対象になります。つまり「解凍」と書かれているのは、消費者が状態を正しく知るための情報だと考えてください。

なぜ解凍肉が売られているのか(業務用ブロック・輸入肉)

輸入牛や輸入豚は、船や倉庫を経て届くため冷凍で流通するのが基本です。大きなブロックのまま店舗に入り、バックヤードの冷蔵庫でゆっくり解凍してから、スライスしてパックに詰めます。

この流れが分かると、スーパーの解凍肉の多くが低温管理された状態で解凍されている、という意味も見えてくるでしょう。売り場に並ぶまで一度も常温に長く置かれていない、というのが実務の感覚です。

冷凍のブロック肉が実際にどう売られているかは、こちらの記事でも紹介しています。

「冷凍」「解凍」「チルド」の表示の違い

売り場でよく見かける3つの表示を整理しておきましょう。チルドとは、凍らせずにおおむね0℃前後で低温管理された状態を指す言葉です。

表示肉の状態家庭での冷凍
冷凍凍ったまま売られているそのまま冷凍庫へ入れればよい
解凍一度凍結され、店で解凍された再冷凍にあたるため条件を確認
チルド(表示なしの生肉)凍結されていない未凍結の状態初めての冷凍なので問題は少ない

迷ったときは、パックの裏面や下部のラベルを確認してみてください。「解凍」の二文字が見当たらなければ、基本的には未凍結の肉と考えてよいでしょう。判断がつかないときは、売り場の担当者に聞くのが確実です。

解凍肉を再冷凍するとどうなる?3つのリスク

再冷凍で起きる変化は、味の面と安全の面の両方に出てきます。ここを知っておくと、次のセクションの判断基準が腑に落ちるはずです。

ドリップが出て旨味と栄養が流れ出る

解凍したときにパックに溜まる赤い液体、これがドリップと呼ばれるもの。血だと思われがちですが、正体は筋肉繊維に含まれていた水分と、ミオグロビンなどのタンパク質が溶け出したものです。

ドリップには旨味成分やビタミン、ミネラルも含まれています。凍結と解凍を繰り返すほど流出量が増え、食感もパサついていくでしょう。

家庭用冷凍庫は「緩慢凍結」になり組織が壊れる

家庭の冷凍室は通常−18℃程度で、買ってきた冷凍食品を保存するには十分な温度です。ただし農林水産省は、食品を新たに凍らせる能力としては不十分で、ゆっくり凍る「緩慢凍結」になり組織が壊れると説明しています。

肉の水分がもっとも氷の結晶に変わりやすい温度帯は、およそ−1℃から−5℃。この帯をゆっくり通過すると、大きな氷の結晶が育って細胞を内側から壊してしまいます。壊れた細胞から水分が抜け出たもの、それがあのドリップの正体。

冷凍しても細菌は死なない(食中毒リスク)

ここがいちばん誤解されやすい部分です。日本食品衛生協会によると、細菌の増殖は10℃で遅くなり−15℃で停止しますが、菌そのものが死ぬわけではありません。

また、10℃から60℃は細菌が増えやすい温度帯とされ、危険温度帯とも呼ばれます。常温に置いていた時間の分だけ増えた菌が、そのまま凍って眠るだけだと考えてください。

解凍すれば菌はまた動き出します。冷凍は殺菌ではなく一時停止だ、と覚えておくと判断を誤りません。

ジョニー

常温で長く置いた肉をそのまま凍らせるのは、菌ごと保存するようなものなんです。

再冷凍していい肉・避けるべき肉の判断基準

ここからが実践編です。冷凍庫の前で迷ったら、これから挙げる条件に自分のケースを当てはめてみてください。

再冷凍してよい3つの条件

次の3つをすべて満たしているなら、再冷凍のリスクは比較的小さく抑えられます。

  • 買い物から帰ってすぐ冷蔵庫に入れ、低温を保ったままである
  • 購入当日、遅くとも消費期限内である
  • パックにドリップが溜まっておらず、においや変色に異常がない

特に大切なのは1つ目です。買った当日に、冷蔵庫から出さずそのまま冷凍庫へ移すのが最低条件だと考えてください。

再冷凍を避けたほうがいいケース

反対に、次のような状態なら再冷凍はやめておきましょう。無理に凍らせても、味が落ちるうえに衛生面のリスクが残ります

  • 室温に2時間以上出しっぱなしにしていた
  • 電子レンジで解凍して、一部に火が入ってしまった
  • パックの底にドリップがはっきり溜まっている
  • 消費期限が当日、または過きている
  • 調理台の上でしばらく常温放置してしまった

色やにおいで迷ったときは、無理をせず加熱調理に回すか、思い切って処分する判断も必要です。

肉の色が変わっていて食べられるか迷う場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

肉の種類・形状別の目安

同じ肉でも、形状によってリスクの大きさが変わります。表面積が大きいものほど温度が上がりやすく、傷みも早いと覚えておきましょう。

形状再冷凍の可否理由
ブロック・厚切り比較的リスクが低い表面積が小さく、中心の温度が上がりにくい
薄切り・こま切れ条件つき表面積が大きく、温度が上がりやすい
ひき肉もっとも避けたい加工時に細かく裁断され、細菌が内部まで入り込みやすい
鶏肉慎重に判断ドリップが出やすく、加熱前提の取り扱いが必要

ひき肉はもっとも再冷凍に向かない形状です。空気に触れる面が広いぶん酸化も進みやすく、冷蔵での日持ちも1〜2日程度しかありません。

迷ったら「加熱してから冷凍」に切り替える

条件に当てはまるか自信が持てないときは、生のまま凍らせる選択肢を一度手放しましょう。火を通してから冷凍すれば、菌を減らした状態で保存できます。

具体的な方法は、このあとの代替案のセクションでまとめて紹介しましょう。

解凍肉を再冷凍する正しい手順5ステップ

再冷凍すると決めたら、あとはスピードと薄さで味の落ち幅が決まります。ここでは家庭の冷凍庫でできる手順を5つに分けて紹介しましょう。

小分けにして薄く冷凍する流れは、動画で手つきを見たほうが分かりやすいかもしれません。

①ドリップをキッチンペーパーで拭き取る

最初にやるのは水分を取ることです。パックから出した肉の表面を、キッチンペーパーで軽く押さえるように拭き取ります。

ドリップが残ったまま凍らせると、その水分が霜になり、臭みのもとになりかねません。ゴシゴシこすらず、押し当てて吸わせるのがコツです。

②1回分ずつ小分けにして、薄く平らにする

使う分だけ取り出せるように、1回分ずつ分けておきます。このとき、できるだけ薄く平らにならしてください。

厚みが薄いほど中心まで早く凍り、氷の結晶が小さく保たれます。薄く平らに小分けするほど、味の落ち方は小さくなると考えてください。

③ラップで密着させ、保存袋の空気を抜く

小分けにした肉は、ラップで隙間なく包みます。空気が触れる面をなくすことで、冷凍焼けと酸化を防げます。

そのあと冷凍用の保存袋に入れ、袋の空気をしっかり抜いて口を閉じましょう。冷凍焼けとは、乾燥によって肉の表面が白っぽくパサつく現象のことです。

④金属トレーにのせ、急速冷凍モードを使う

包んだ肉は、アルミなど熱を伝えやすい金属トレーにのせて冷凍庫へ入れましょう。プラスチックの容器に直接置くより、冷える速度が上がります。

冷蔵庫に急速冷凍モードが付いているなら、迷わず使いましょう。凍る速度を上げるほど、氷の結晶が小さくなって細胞が壊れにくくなります。

⑤日付を書いて2〜3週間で使い切る

袋に冷凍した日付を書いておくと、うっかり奥で眠らせる事故を防げるでしょう。農林水産省は、家庭で冷凍したものは2〜3週間以内に使い切ることを目安としています。

再冷凍した肉は、通常の冷凍よりさらに劣化が早いと考えておきましょう。目安いっぱいまで待たず、早めに使い切るのが安心です。

再冷凍が不安なときの代わりの方法3つ

生のまま凍らせるのがどうしても不安なら、別のルートがあります。ここでは家庭で無理なく実践できる3つの方法を紹介しましょう。

加熱調理してから冷凍する(そぼろ・煮込み・ハンバーグ)

もっとも現実的なのが、火を通してから凍らせる方法です。加熱で菌を減らした状態にしてから保存できるため、生のまま再冷凍するよりリスクを下げられます。

加熱の目安は、中心温度75℃で1分以上。そぼろ、ミートソース、煮込み、焼いておいたハンバーグなら、そのまま弁当や次の日の一品に回せます。

火を通してから冷凍する考え方は、ウインナーでも同じことがいえます。

下味冷凍にする

調味料をもみ込んでから冷凍する、いわゆる下味冷凍も使いやすい手。塩分や糖分、油分が肉の水分をつなぎとめてくれるので、解凍したときのパサつきがやわらぎます。

しょうが焼きのタレや、味噌とみりん、塩麹などが扱いやすいでしょう。解凍後はそのまま焼くだけなので、忙しい日の助けにもなります。

半解凍のうちに冷凍庫へ戻す

冷凍していた肉を出したのに、やっぱり今日は使わないと分かったときの手段。中心がまだ凍っている半解凍の段階なら、温度の上がり幅が小さくて済みます。

ただし日本食品衛生協会は、冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖する場合があると注意を促しています。あくまで一度きりの緊急対応として考えてください。

再冷凍した肉をおいしく食べる解凍・調理のコツ

再冷凍した肉は、解凍の仕方しだいで味の落ち幅が変わります。仕上げのひと工夫まで押さえておきましょう。

解凍は冷蔵庫が基本(室温放置はしない)

凍った肉を調理台に出したまま解凍するのは避けましょう。日本食品衛生協会も、放置したままの解凍をやめるよう呼びかけています。

すすめられているのは、冷蔵庫か電子レンジでの解凍。水を使う場合は、気密性のある容器に入れて流水を当てます。解凍は使う分だけ行い、終わったらすぐ調理に移してください。

ドリップを拭き取ってから焼く

解凍後に表面が濡れていたら、焼く前にもう一度拭き取ります。水分が残っていると温度が上がりきらず、焼き色が付きません。

臭みの原因もこの水分にあります。ひと手間かけるだけで、香ばしさがはっきり変わってきます。

それでも臭みが気になるなら、こちらの記事の下処理も試してみてください。

味の濃い料理・煮込みに回すと気にならない

再冷凍した肉は、どうしても食感が硬くなりがち。ステーキのように肉そのものを味わう料理より、味付けの濃い料理に回すほうが向いています。

カレー、シチュー、ミートソース、そぼろ、角煮あたりが扱いやすい行き先です。長時間煮込む料理なら、パサつきもソースが包み込んでくれるでしょう。

よくある質問

よくある質問

解凍肉の再冷凍について、売り場でよく聞かれる質問をまとめました。自分のケースに近いものから読んでみてください。

スーパーの「解凍」表示のひき肉は再冷凍できますか?

ひき肉はもっとも避けたい部類です。加工の過程で細かく裁断されるため、細菌が内部まで入り込みやすく、冷蔵での日持ちも1〜2日程度しかありません。買ったその日に加熱調理して、そぼろやミートソースの状態で冷凍するほうが安心です。

再冷凍した肉はどのくらい日持ちしますか?

家庭で冷凍したものは2〜3週間以内が目安だと農林水産省が示しています。ただし再冷凍した肉は劣化がさらに早いため、2週間以内に使い切るくらいの気持ちでいるとよいでしょう。冷凍中も品質は少しずつ落ちていきます。

電子レンジで解凍した肉を再冷凍してもいいですか?

おすすめできません。レンジ解凍は部分的に加熱が進んで温度のムラができるため、火の入った部分から傷みやすくなります。レンジを使うなら、その日に使う分だけ解凍して、すぐ調理まで済ませてしまいましょう。

冷凍と解凍を何度も繰り返すのは危険ですか?

日本食品衛生協会は、冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖する場合があると注意を促しています。解凍のたびに温度が上がり、そのつど細菌が増える機会を与えてしまうためです。品質の劣化も回数ごとに積み重なるので、繰り返しは避けてください。

豚くん

判断基準がわかれば、もう冷凍庫の前で迷わなくて済むね。

まとめ

この記事のまとめ

スーパーの解凍肉は、低温を保ったまま買った当日に凍らせるなら再冷凍という手が使えます。ただし公的機関がすすめている方法ではなく、味の劣化も避けられません。

ひき肉と常温放置した肉の再冷凍は避けてください。凍らせるときは薄く小分けにして、できるだけ速く凍らせるのがコツです。

少しでも不安が残るなら、火を通してから冷凍する方法に切り替えましょう。

サーロイン

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