おでんの肉は牛すじ以外なら7部位|トロトロになる選び方を肉屋が解説

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豚くん

牛すじが売り切れてた…おでんの肉って、やっぱり牛すじじゃないとダメなのかな。

ジョニー

むしろ牛すじより扱いやすい肉、精肉売り場にいくつもありますよ。

おでんの季節になると、牛すじを買いに来たのに売り切れていた、という声をよく聞きます。代わりに何を入れればいいのか、売り場で手が止まる方も多いはず。

ただし、どの肉でもいいわけではありません。長く煮るほどトロトロになる肉と、煮るほど硬くパサつく肉がはっきり分かれます。この記事では、その見分け方を精肉売り場の視点でまとめました。

この記事でわかること
  • 牛すじ以外でトロトロになるおすすめの肉7部位
  • 代役選びに使える「コラーゲンの量」と「脂の入り方」の見分け方
  • 下ゆでが必要な肉と不要な肉の違い
  • 逆におでんに向かない肉と、その理由
目次

おでんの肉は牛すじ以外でも十分おいしい|選び方の基準

おでんに入れる肉は、牛すじ以外にも選択肢がたくさんあります。ただし選び方には基準があって、そこを外すと硬いまま食べることになります。

そもそも牛すじがおでんの定番になっている理由

牛すじがおでんの定番なのは、煮込むほど柔らかくなり、つゆにコクを出してくれるからです。すじ肉はコラーゲンの多い部位で、長時間の加熱でとろりとした食感に変わります。

関西風のおでん、いわゆる関東煮では牛すじが定番の具として知られています。ただし牛すじを使うのは関西だけではありません。

農林水産省の「うちの郷土料理」でも紹介されている静岡おでんは、濃口醤油をベースに牛すじや鶏からだしを取り、黒はんぺんを入れるのが特徴。牛すじは「だしを出す肉」として各地で使われてきた存在です。

代わりを探すときも、この「柔らかくなる」「だしが出る」の2点を満たす肉を選べば失敗しにくくなります。

代役選びの基準は「コラーゲンの量」と「脂の入り方」

牛すじの代役を選ぶ基準は、コラーゲンの量と脂の入り方の2つだけです。

コラーゲンは生のままだと硬い繊維状のたんぱく質ですが、加熱すると構造がほどけて粘りのあるゼラチンに変わります。秋田栄養短期大学の公開講座資料などによれば、この変化は75℃を超えたあたりから急速に進みます。おでんの鍋は、まさにこの温度帯。

もう一方の脂は、つゆのコクを左右します。少なすぎると味が物足りず、多すぎると表面に浮いて重たくなる。バラ系の部位が煮込みに向くのは、この2つのバランスがいいからです。

長く煮るほど柔らかくなる肉と、逆にパサつく肉がある

同じ「煮る」でも、肉の中では正反対の変化が同時に起きています。

ひとつは筋繊維が縮んで水分を押し出す変化。もうひとつはコラーゲンがゼラチンに変わってほぐれる変化です。コラーゲンが多い部位は後者が勝つので、時間をかけるほど柔らかくなります。

逆に、コラーゲンが少ない肉はいくら煮ても柔らかくなりません。水分だけが抜けて、パサパサに縮んでいくだけ。「長く煮れば何でも柔らかくなる」は、肉に関しては誤解です。

【比較表】牛すじ以外のおでん向き肉7種を比べる

売り場でよく聞かれる7種類を、食感・下ゆで・煮込み時間・値段の4つの軸で並べました。迷ったときの早見表として使ってください。

肉の種類仕上がりの食感下ゆで煮込み時間の目安値段の目安
豚バラ軟骨(パイカ)コリコリ必要弱火で1時間、しっかり柔らかくするなら1時間半以上やや高め
豚バラブロックトロトロ必要下ゆで1時間+味付けして1〜1.5時間ふつう
スペアリブホロホロ必要骨から肉が外れるまでが目安やや高め
鶏手羽元・手羽先ホロホロ推奨骨離れがよくなるまでが目安安い
豚もつトロトロ必要下処理の状態で変わるため様子を見るふつう
鶏つくね・肉団子プリッ不要短時間で火が通るふつう
ウインナーそのまま不要食べる直前に温める程度安い

※値段と取り扱いは地域・店舗・時期で変わります。時間もあくまで目安なので、好みの柔らかさに合わせて調整してください。

牛すじみたいにトロトロになる肉5選

ここからは牛すじの代役として満足度が高い5つを紹介します。共通しているのは、コラーゲンと脂がしっかりある部位という点。

豚バラ軟骨(パイカ)|牛すじにいちばん近い

牛すじにいちばん近い食感になるのが豚バラ軟骨です。バラ肉の骨側にある軟骨つきの部位で、肉のトロトロと軟骨のコリコリを同時に楽しめます

レシピサイトの調理例では、弱火で1時間ほど、しっかり柔らかくするなら1時間半以上が目安とされています。時間はかかるものの、放っておくだけなので手間はかかりません。

売り場では「パイカ」「豚軟骨」「バラ軟骨」と表記がばらばら。どれも同じものを指しているので、見つけたら手に取ってみてください。

豚バラブロック|脂とゼラチンでつゆにコクが出る

豚バラブロックは、つゆにコクを出したいときの定番です。角煮と同じ扱い方をすれば、そのままおでんに合います。

白ごはん.comなどのレシピでは、下ゆでに1時間ほど、味をつけて煮るのにさらに1〜1.5時間が目安。全体で1〜2時間ほど見ておくと安心です。

下ゆでを省くと、脂とアクがそのままつゆに出てしまいます。ここだけは省略しないでほしい工程。ゆでこぼした湯を捨てるだけで、仕上がりがまったく違ってきます。

スペアリブ|骨からのだしが出る

骨つきならではのだしを楽しみたいならスペアリブ。骨の周りの肉はコラーゲンが多く、じっくり煮ると骨からほろりと外れます。

煮込み時間は肉の厚みや骨の大きさで変わるため、決まった正解はありません。箸を刺して抵抗がなくなったか、を目安にしてください。

こちらも下ゆでは必要。骨から出る血合いやアクを先に落としておくと、つゆが澄んだまま仕上がります。

鶏手羽元・手羽先|安くて骨離れがよくなる

安く手に入って失敗が少ないのが手羽元と手羽先。皮と骨の周りにコラーゲンが多く、煮込むほど骨離れがよくなります。

脂が気になるなら、先に熱湯にくぐらせてから鍋に入れると軽い仕上がりに。鶏の脂は冷えると白く固まるので、翌日に回す分は表面の脂を取ってから温め直すのがおすすめです。

なお鶏肉の加熱の目安は、厚生労働省が示す中心温度75℃以上で1分以上。おでんの鍋でしっかり煮込めば問題になりませんが、骨の際の色は一応確認しておくと安心。

豚もつ|名古屋の味噌おでんでも使われる定番

紀文アカデミーなどで紹介されている名古屋の味噌おでんでも、豚もつは定番の具材です。八丁味噌をベースにした煮汁に、豚のモツやバラ肉を入れるのが定番の形。

売り場で買うときは、下処理済みかどうかを必ず確認してください。「ボイル済み」「下処理済み」と書かれたものは、軽く洗ってそのまま使えます。生の状態のものは、ねぎや生姜と一緒に下ゆでしてから鍋へ。

もつは臭みが出やすい素材です。他の具と最初から一緒に煮るより、別鍋で下煮してから合わせたほうが安全。

手間をかけずに入れるならこの3タイプ

平日の夜など、何時間も煮込んでいられない日もあります。そんなときに向いているのが、この3タイプです。

ウインナー・ベーコン|煮込まないほうがおいしい

ウインナーとベーコンは、煮込まないほうがおいしく食べられます。すでに加熱と味付けが済んでいるため、長く煮ると旨みが煮汁へ逃げてしまう。

おすすめは、食べる10分ほど前に入れる後入れです。パリッとした食感が残り、つゆにも軽く燻製の香りが移ります。

ベーコンは厚めのブロック切りにすると存在感が出ますが、薄切りは煮ると縮んで頼りなくなるので注意してください。

鶏つくね・肉団子|だしが出て子どもも食べやすい

鶏つくねや肉団子は、短時間でだしが出る便利な具です。ひき肉から旨みがすぐ溶け出すので、煮込み時間が短くてもつゆがおいしくなります。

市販の冷凍つくねなら、凍ったまま入れて大丈夫。手作りするときは、玉ねぎより長ねぎを刻んで混ぜたほうが、おでんのつゆに馴染みます。

骨がなく噛み切りやすいので、小さな子どもと食べる鍋にも扱いやすい具材。

鶏もも肉・牛タン先|短時間でもやわらかい部位

鶏もも肉は皮に脂とコラーゲンがあり、30分ほどでも十分やわらかくなります。骨がないぶん食べやすく、家族向けの鍋に使いやすい部位です。

牛タン先は、牛タンの根元から遠い硬い部分。硬いぶんコラーゲンが多く、長めに煮るとほろりとほぐれます。煮込み用として手頃な値付けで出ていることがあり、牛すじに近い満足感が出せます。

どちらも下ゆでは不要。ただし鶏ももは湯にくぐらせてから入れると、余分な脂が落ちて後味が軽くなります。

牛タン先をおでん以外でも活用したい方は、こちらの使い道もあわせてご覧ください。

実はおでんに向かない肉と、その理由

売り場では「それはやめておいたほうがいいですよ」と伝えることもあります。理由がわかると、肉選びの基準がはっきりします。

鶏むね・ささみ|煮るほど水分が抜けてパサつく

鶏むね肉とささみは、おでんには向きません。水分が抜けやすいからです。

キッコーマンのホームクッキングなどでも解説されているとおり、むね肉は筋肉を包む膜が薄く、加熱でたんぱく質が縮むと水分が外へ出ていきます。長時間の加熱でパサつきやすい部位。

しかもコラーゲンが少ないため、煮ても柔らかさは戻りません。むね肉を買ったなら、おでんではなく短時間で仕上げる料理に回すほうがおいしく食べられます。

同じくコラーゲンが少なく硬くなりやすい部位として、鶏肩肉(ふりそで)を柔らかく仕上げるコツもあわせてどうぞ。

牛モモ・ヒレ・豚ヒレなどの赤身|煮ても柔らかくならない

赤身のかたまり肉も、おでん向きとは言えません。ステーキやローストで評価される部位ほど煮込みに向かないという、逆転が起こります。

赤身はコラーゲンが少ない部位。前に書いたとおり、コラーゲンが少ない肉はいくら煮ても柔らかくなりません。繊維がほぐれず、パサついた食感になるだけです。

ヒレはとくにその傾向が強い部位。値段も張るので、おでんに入れるのはもったいない使い方になります。

薄切り肉・こま切れ|煮崩れてつゆが濁りやすい

薄切り肉やこま切れは、煮崩れてつゆを濁らせるだけになりがちです。厚みがないため、コラーゲンがゼラチンに変わる前に繊維がばらけてしまう。

つゆに肉の旨みは出ますが、具として食べる楽しみはほとんど残りません。

どうしても薄切りを使いたいなら、ロールキャベツや肉巻きのように形をつくってから入れてください。それなら煮崩れずに具として成立します。

ジョニー

いい肉を選んだのに硬くなった、という相談は、だいたい赤身が原因なんです。

精肉売り場での買い方と値段の目安

肉によって並んでいる場所も、値段の感覚も違います。ここは売り場側の視点で説明します。

どの売り場に並んでいるか

豚バラ軟骨は、ブロック肉の棚か、煮込み用の商品を集めたコーナーに置かれていることが多いです。店によっては扱いのない日もあります。

豚もつは内臓・ホルモンの棚。焼肉用ホルモンと同じ場所にあることが多く、平台ではなく冷蔵ケースの端にまとめている店もあります。

手羽元と手羽先は鶏コーナーの端、スペアリブは豚ブロックの近く。どちらも寒くなる時期は動きが早くなるので、夕方には残っていないこともあります。

値段とパック容量の目安

価格の感覚としては、手羽元とウインナーが手頃、豚バラブロックと豚もつがふつう、豚バラ軟骨とスペアリブがやや高めという並びになります。牛すじと比べると、豚バラ軟骨は同じくらいかやや上、手羽元はかなり安く感じるはずです。

パックの容量は、豚バラブロックが300〜500グラム前後、豚バラ軟骨が300グラム前後、手羽元が6〜8本入りで並んでいる印象。

ただし値段も取り扱いも、地域・店舗・時期で大きく変わります。ここに書いたのは、あくまで売り場での実感として読んでください。

売っていないときの代わりと、精肉に頼む買い方

豚バラ軟骨が見つからないときは、豚バラブロックとスペアリブが近い代わりになります。トロトロ感を優先するならバラブロック、骨のだしを優先するならスペアリブ。

ブロックが大きすぎるときは、精肉のスタッフに声をかけてカットを頼んでみてください。設備と手が空いていれば、その場で切ってくれる店が多いです。

年末など需要が集中する時期は、事前に取り置きを相談しておくと確実。何日にどれくらい欲しいかを伝えておけば、対応してくれる店もあります。

失敗しない下ごしらえと煮込み時間

肉入りおでんの失敗は、ほとんどが下ごしらえの段階で決まります。ここさえ押さえれば、あとは鍋に任せられます。

下ゆでが必要な肉・不要な肉の見分け方

判断はシンプルで、アクと脂が多く出る肉は下ゆでが必要です。

必要なのは豚バラ軟骨・豚バラブロック・スペアリブ・豚もつ。推奨が手羽元。不要なのはウインナー・ベーコン・つくね・鶏もも肉という分け方になります。

白ごはん.comのおでんの具の下ごしらえ解説でも触れられているとおり、牛すじの場合、下ゆで(ゆでこぼし)をしないと、生臭さと脂っぽさが他の具にまで移ります。豚の煮込み用部位も事情は同じ。たっぷりの湯で数分ゆで、湯を捨てて肉を洗う。この一手間で、つゆの澄み方がはっきり変わります。

つゆが濁る・脂が浮くときの対処

濁りの原因は、ほぼアクと脂です。下ゆでをしていれば大半は防げます。

それでも脂が浮くときは、一度火を止めて冷ますのが手軽な方法。脂は冷えると表面で白く固まるので、スプーンですくえば簡単に取れます。翌日食べる前提なら、この手が一番楽です。

大根やはんぺんの白さを守りたいときは、肉だけ別鍋で下煮してから合わせてください。つゆの色を汚さずに、肉の旨みだけを足せます。

手羽元などから出る茹で汁の扱いが気になる方は、安全性を解説したこちらの記事も参考になります。

部位別の煮込み時間の目安

はっきりした時間があるのは、豚バラ軟骨と豚バラブロックの2つ。軟骨は弱火で1時間ほど、しっかり柔らかくするなら1時間半以上。バラブロックは下ゆで1時間に加えて、味をつけてから1〜1.5時間が目安です。

スペアリブ・手羽元・豚もつは、肉の大きさや下処理の状態で必要な時間が変わります。数字で決めるより、箸を刺して抵抗がなくなったかで判断するほうが確実。

つくね・ウインナー・ベーコンは、食べる直前に入れる程度で十分です。

圧力鍋を使うときの注意

時間を短縮したいなら、圧力鍋という手もあります。ただし加圧時間は機種によって差が大きいので、必ず取扱説明書に書かれた時間に従ってください。

コツは、加圧が終わったあとに一度冷ますこと。冷める過程で味が中まで入るため、加圧直後より落ち着いた味になります。

なお圧力鍋を使っても、コラーゲンの少ない赤身が柔らかくなるわけではありません。時間の問題ではなく、肉の性質の問題だからです。

圧力鍋を使わずに硬い部位を柔らかくしたい場合は、こちらのコツも参考にしてください。

よくある質問

よくある質問

売り場で実際によく聞かれる質問を、5つにまとめました。

おでんに入れる肉は必ず下ゆでが必要ですか?

すべてではありません。アクと脂が多く出る豚バラ軟骨・豚バラブロック・スペアリブ・豚もつは必要で、ウインナーやつくねは不要です。下ゆでを省くと生臭さと脂が他の具に移り、つゆが濁る原因になります。

牛すじの代わりでいちばん近い食感になるのはどれですか?

豚バラ軟骨(パイカ)です。肉のトロトロと軟骨のコリコリが同時に出るので、牛すじに近い満足感があります。トロトロ感だけを求めるなら豚バラブロックも近い仕上がりに。

肉を入れるとつゆが脂っぽくなるのはなぜですか?

下ゆでをしていないと、肉の脂とアクがそのままつゆに出るためです。ゆでこぼしてから鍋に入れれば大半は防げます。すでに脂が浮いてしまった場合は、一度冷まして白く固まった脂をすくい取ってください。

圧力鍋を使えば、どの肉でもトロトロになりますか?

なりません。柔らかくなるのはコラーゲンの多い部位だけで、赤身は圧力をかけてもパサついたままです。加圧時間は機種差が大きいため、お使いの圧力鍋の取扱説明書に従ってください。

鶏肉を入れるとき、生焼けが心配です。目安はありますか?

厚生労働省が示す加熱の目安は、中心温度75℃以上で1分以上です。おでんの鍋でしっかり煮込めば通常は問題ありません。手羽元など骨つきの場合は、骨の際まで色が変わっているかを確認すると安心です。

豚くん

牛すじが売り切れてても、もう売り場で迷わなくてすみそう。

まとめ

この記事のまとめ

おでんの肉は、牛すじ以外でも十分においしく作れます。選ぶ基準はコラーゲンの量と脂の入り方の2つだけ。

豚バラ軟骨・豚バラブロック・スペアリブ・手羽元・豚もつは、煮込むほど柔らかくなります。逆に鶏むねや赤身は、煮てもパサつくだけ。

下ゆでを省かず、時間をかけて煮る。それだけで、牛すじが売り切れていた日でも満足できる一鍋になります。

おでんの肉を牛すじ以外で選ぶならこの7部位がトロトロになる

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